Oji’s 備忘録的 Diary

日々の読書からの備忘録です。

サグラダ・ファミリア3

ガウディが弟子たちに残した重要な言葉の一つに

 

「人間はなにも創造しない。ただ発見するだけである。

新しい作品のために自然の秩序を求める建築家は、

神の創造に寄与する。

ゆえに独創とは、創造の起源に還ることである」

 

というものがある。

 

ガウディは自然を偉大な書物とみなし

自然の法則、秩序などから与えられたものを最大限に有効利用しながら

人間の役に立つものをつくろうとした。

 

建物の材料や色、光、音、構造。

 

ガウディはサグラダ・ファミリア自体を楽器とし、

音を奏でる仕掛けを考えていた。

 

完成の暁には、どのような音を奏でるのか。

 

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サグラダ・ファミリアのロザリオの間は

ガウディが生前に完成させた唯一の内部空間である。

 

 

サグラダ・ファミリアの彫刻は基本的に聖書の物語を

表現する役割を担っているが

ロザリオの間には聖書とは関係のない現代的な彫刻像がある

(残念なことに内戦により破壊、しかし現在は

日本の彫刻家によりロザリオの間は修復されている)。

「爆弾を持った若者」と、その反対側の「祈る少女」である。

 

「tentacion(誘惑)」という副題のあるロザリオの間。

 

「爆弾を持った若者」像をよく見ると

若者の小指のみが爆弾を掴んでいる。

悪魔から爆弾を手渡され躊躇なく受け取ったのではない一瞬のためらい

が表現されているのだ。

「祈る少女」は

マリアに祈りを捧げる少女が、魚に化けた悪魔に金銭袋で誘惑されている。

 

ガウディはなぜ

サグラダ・ファミリアの中のこの間を第一に完成させたか。

 

それは、教会をつくり続けるものに対し二体の像が表現する

「暴力やお金への誘惑という正義感や優しさと同居する

悪魔の存在を知れ」

というメッセージが込められているのではないか、という考えがある。

 

ガウディの本当のメッセージは今はもう、知ることができない。