Oji’s 備忘録的 Diary

日々の読書からの備忘録です。

ウィルスとの戦い 3

タンガニーカ湖北部に総人口800人ほどの

移動を主とした生活を送っている狩猟採集民がいた。

 

この集団の子供達60人の健康調査が行われた。

 

栄養不足を示すものはなく、虫歯もない。

 

4人の便から条虫、3人の便から鞭毛虫が見つかった。

回虫や鉤虫は見つからなかった。

 

風疹といった感染症は見られなかった。

 

狩猟採集社会の特徴として「移動」がある。

 

移動により自然を再生させ

資源の枯渇を防ぐ。

 

また糞便からの感染が少ない。

 

我々は定住することにより

自らの糞便への接触機会を増やし

消化器系の感染症寄生虫感染を増加させている。

 

定住社会は感染症が流行しやすい土壌を

提供することが多い。

 

先史時代は感染症として

寄生虫以外に

炭疽症とボツリヌス症の二つの人獣共通感染症がある。

 

どちらも狩猟による獣肉食と深い関係を持つ。

 

こうした感染症を除けば

先史時代、人類は比較的健康な生活を送っていたと考えられる。

 

人類と感染症の関係の大きな転換点となったのは

農耕の開始、

定住、

野生動物の家畜化であった。

 

農耕により食料が安定して供給されるようになり

また定住化により人口が飛躍的に増大していくと同時に

野生動物の家畜化が始まる。

 

それは今から1万1千年前、

ティグリス川、ユーフラテス川に挟まれた

メソポタミアの地で起こった。

農耕定住社会は

鉤虫症や回虫症といった寄生虫疾患を増大させ、

農耕によって生み出され貯蔵された余剰食物は

ネズミなどの格好のエサとなり

ネズミはノミ、ダニを通じて

ある種の感染症を人の社会に持ち込んだ。

 

ライム病、

野兎病、

コクシェラ病、

ツツガムシ病、

ペストなど。

 

家畜に起源を持つ感染症としては

麻疹は犬、

天然痘は牛、

インフルエンザはアヒル

百日咳は豚や犬などによる。

 

一方、

人から家畜に感染したものもあり

牛型結核菌などがある。