人の標準形

生物の体はタンパク質でできている。 

タンパク質はアミノ酸が多数連なったもの。

どんなに複雑で巨大なタンパク質分子も20種類のアミノ酸

順列組み合わせだけでできている。

 

この20種類は地球上のすべての生命で共通しており

同じ共通の祖先から進化したことの一つの証拠でもある。

 

全てのアミノ酸は3文字の塩基で表されていることが明らかとなった。

ただこの3文字のコードがDNA増幅のたびに正確にコピーされていくだけでは

生命は進化しない。

 

進化とは遺伝子の上に起こった偶発的なコピーミスの結果

というのが

1960年代に化学が到達できた究極の回答であった。

 

全ての突然変異は生物にとって有害か有益か、

どちらかしかないと考えられていたが

1968年、日本の木村博士のヘモグロビン遺伝子の研究により

ほとんどの突然変異は自然選択に対して中立

という、分子進化の中立説が提唱された。

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突然変異が残るかどうかはただ偶然任せ。

優れたもの、そうでないものかは関係なく

定着するかどうかは確率的な過程のみを経て

種の中に定着する。

 

その後様々な形で検証され、今では事実であることを疑う人はいない。

1980年代では遺伝子の塩基配列を決定するにも

非常に手間のかかる方法しかなかったのだが

1987年に PCR法という新たな遺伝子増幅方法が登場し

一変した。

 

1990年にはヒトゲノム計画、

ヒトゲノムの完全解読がアメリカ、イギリス、フランスなどの

共同プロジェクトで開始、

2003年には99.99%が解読された。

 

解読前には電子情報は人の共通事項であり

個性を生み出すのはわずかな塩基の差だろうと考えられていたが

解読が手軽にできるようになった今、

何人ぶんものゲノムを比較すると

重複や欠落、部分的な変異が数多く存在し

人の標準形などというものはどこにあるのかわからない状態であった。