恐竜のタンパク質
2005年、ティラノサウルス・レックスの化石から
血管や細胞が見つかったとの発表があった。
約6,800年前の化石、
この化石の鉱物部分をEDTAという薬品で溶かすと
中から数ミリの有機物の塊が得られた。
顕微鏡で調べると管状の構造と丸い赤血球のようなものが
確認された。
シュバイツァーはこの有機物が
ティラノサウルスのものかを確認するため、
有機物のタンパク質を調べた。
免疫反応を使ってコラーゲンというタンパク質が存在していることを確かめたのだ。
その免疫反応を起こすために利用する抗体を作るには
まず恐竜の分子を用意する必要がある。
だが実際には恐竜の分子は用意できないので、
ニワトリの分子を使い、抗体を作った。
鳥類は恐竜の子孫であるから
ニワトリのコラーゲンに対する抗体は
ティラノサウルスのコラーゲンとも結合すると考えたのだ。
その後、質量分析計を使って
そのタンパク質のアミノ酸配列を決定、論文として発表したが、様々な疑問が出され、有識者が納得できるものではなかった。
他の研究者が他のティラノサウルスの化石を使って
同様の実験を行い同じ結果が得られれば、
先に見つかった有機物がティラノサウルスのものである
という可能性が高くなるのだが。
やはり果てしなく古い化石から確実に情報を得るというのはむずかしいことである。
しかしその過程や研究がなされていることを私達は知ることができ、
楽しい。
いつかは化石から、恐竜の生体などが明確になる日がくるであろう。